あれから6年、昆布が手放せなくなりました
6年前の今日、6月8日にFacebookに挙げた記事です。
2017年6月8日
昆布と山椒を思いがけなく頂いて、作った事もない佃煮を、ただ煮詰めればいいのかしらと作ってみました。
敢え無く撃沈。
煮詰まった昆布は、ただただ硬い。
水を足してなんとか煮含めました。
乾物は奥が深いのですね。
練習します。
あれから6年が経ち昆布への想いは深まりました。
幸運にも出会ったり、教えていただいたりした昆布のレシピの数々。
昆布なしでは過ごせない毎日となりました。
鍋料理の出汁をとるだけでは本当にもったいない豊かな滋養と機能を持つ昆布。
我が家なりの使い方をいくつかお伝えしたいと思います。
目次
お寺の昆布出汁
昆布出汁の引き方って、中々難しそうです。
「・・・昆布が鍋底から離れて、まさに浮き上がろうとする瞬間をとらえて引き上げる・・・・」
緊張するなあ。
一番出汁やら2番出汁やらもあるようで、だしを引く前にちょっと自分が引いちゃいます。
でもそれは料亭の出汁の引き方、家庭で同じようにしなくてもいいですよね。
叔母が仕えた尼僧寺院でも独自のやり方で昆布だしをとっていました。
湯の中をくぐらせるだけの引き方とは真逆。
なんと3時間かけて昆布だしをとっていました。
蓋をせずに、沸騰させずにしずかにしずかに3時間ほど。
そうすると琥珀色に輝く出汁が出来上がります。
これを煮物はもちろん、和え物に使ったり、炊き込みご飯に使っていました。
叔母のつくるおまわり(主菜や副菜)は薄味のようでいてでもしっかりとコクがありました。
この3時間煮出した昆布出汁のお味だったかと思います。
ある本に、この寺院の昆布だしの取り方について書かれた行があります。
長時間煮込んだ昆布出汁の美味しさを教えてもらったのは、京都のお寺の精進料理からだった。豆腐を煮たりしたものがどうしてこんなに深い味があるのかとたずねて、昆布を長時間煮ると教えられた。
自然流乾物読本 津村喬 著 農文協1992年
どこかで文字になったものはないかと探すうちに「京都・竹之御所風・精進のおそうざい豆腐料理」(暮らしの設計140)を見つけた。
~中略~
もう何年も前になるがこれを読んですぐに試してみた。そしてこの出汁で豆腐を長時間ことこと煮たり、焼き豆腐を煮たりしたものはなぜか極上のクリームチーズとか子牛の脳を思い出させるのもだった。
~中略~
味もつけぬ出汁自体が口に甘い感じが江戸っ子としては珍しい。しかしそれが昆布臭いかというと、すでに別の、あまり海の匂いを感じさせない、琥珀色の蒸留酒めいた深いコクのあるものに一変しているのである。京都のいわば精神的奥座敷の内部のゼイタクというのはこういうものなのかと教えられた。
我が家では毎日3時間ことことしているわけではなく、
昆布水に使った昆布を冷凍しておき、ある程度たまったら、3時間ほぼほったらかしでことことしています。
引用の文を読んで、お豆腐を長くコトコト煮たら「すがはいる~」なんて思いながら20分ほど炊きましたら、あら不思議、いくつでもこれだけを食べていたいなあと思うようなお豆腐の煮物になりました。
水だし昆布
毎日のごはんづくりにはこの水だし昆布が欠かせません。
ポットに水と昆布を入れて冷蔵庫で5~6時間。
朝準備すれば夕食には余裕で間に合います。
めったに切らすことはないのですが、冷蔵庫を開けてうっかり作り忘れていることがわかると・・・
口がへの字になってしまいます。
煮物を作る時はもちろん、ご飯を炊く、毎日の野菜スープ、シチューの煮込み、ドレッシングの隠し味、野菜炒め、和え物・・・ほぼすべての調理のベースにとても重宝しています。
別の容器に干し椎茸の水出しも作っていて、コクを出したい時に合わせます。
水出し昆布だしは薄い味ですが、このベースになるものがあるのとないのとでは毎日の食卓が全く違ってきます。
もちろん市販の顆粒だしも便利で美味しい。
以前はよく使っていましたが、昆布の味の奥行の深さには敵わないと思います。
野菜が苦手な父ちゃんですが、この野菜のポタージュにやっと行き着き、お野菜たっぷりと十分な食物繊維が摂れるようになりました。
けど、日本の昆布だしがたっぷり入っていることは、まだないしょです。
近々説明を、ChatGPT さんに英語にしてもらって伝えます。><;
出汁をとったあとの昆布、これが宝物のよう
毎日水出し昆布だしをとっていると、それなりの昆布のだしがらが出ます。
これは宝の山ですね。
少しづつ冷凍しておいたものがある程度の量になったら、お寺の3時間コトコト煮だすお出しを作ります。
とろとろに柔らかくなっただしがら昆布は、ポタージュに加えたり、そのまま刻んでお野菜と和えてサラダにしたり。
定番の昆布の佃煮も、6年前に比べたら美味しく柔らかく作れるようになりました。
今回初めて挑戦してみたものがあります。
だしがら昆布胡椒。
大阪の懐石料理店「雲鶴」の島村雅晴氏が考案したものだそうです。
昆布をあれこれネット検索していて幸運にも見つけました。
「食を通して地球と暮らしを守る」を理念として、食材の産地の環境保全や食育など様々な活動に取り組まれているとのこと。
世の中にはこんなエライ人がいっぱいいるんやなあ!
さて挑戦しました「だしがら昆布胡椒」
ミキサーが上手く回らなくて少々てこずりましたが、お味は上々です。
唐辛子の代わりに使ったのは従妹のお家で採れた山椒。
三日ほどたったら馴染んでいるかしら、楽しみです!
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