高野豆腐を使った変わりレシピ ご飯のおともに

日本では誰もが知っている高野豆腐、でもその秘めたる力は案外知られていないのではないでしょうか。
また実際に家庭の食卓に登場することはもしかして減っているかも…?

実は私自身もその一人、どちらかというと苦手だったのですが…、今では高野豆腐の美味しさと素晴らしい栄養価、アレンジの楽しみにすっかり魅せられてしまっています。
この記事では高野豆腐の秘めたる力についてお伝えします。

高野豆腐で鉄火味噌が「ご飯のおとも大賞」を受賞!

昨年の秋、河内長野市と道の駅「奥河内くろまろの郷」が募集した「奥河内ごはんのおとも選手権」に応募しました。
新米が美味しい季節にごはんがより美味しくいただけるレシピで、材料は求めやすい価格のもの、という条件です。プロアマを問わずに応募できるとあり、早速いくつか考案してみました。

そのうちのひとつ、「高野豆腐で鉄火味噌」と名付けた一品を応募しましたら、なんと最優秀賞を頂いたのです!
炒り豆の代わりに高野豆腐を使って鉄火味噌を作ってみたもの。

長年歳を重ねていますが…、「最優秀賞」なるものを頂くのは初めてのことです。
もう舞い上がってしまって、何度も作っては友人知人に配り歩いたものでした。

このレシピは、手軽に作れるだけでなく、味わい深く、栄養価も豊富なことが評価されたようです。

奥河内ごちそうレシピー新米を楽しむ! ごはんのおとも
ごはんと相性のいい自慢のレシピを募集した「奥河内ごはんのおとも選手権}で、最優秀賞を受賞したレシピをご紹介します。愛知県の郷土料理、鉄火味噌(炒めた大豆や野菜などを赤味噌で練りこんだもの)を高野豆腐でアレンジ。滋養豊富、体を温め保存も効いて、ごはんが止まらなくなるレシピです。

河内長野市11月広報

乾物の特徴とご飯のおともの条件

ご飯のおともは、安価であること、季節を問わず手に入ること、味に馴染みがあることが求められると考えました。
なんとこれは、乾物の特徴と重なっているのです!

切り干し大根、干しワカメ、ひじき、麩などは特に高価な物ではなく、普段の食事に気軽に使える価格です。
そして季節を問わず手に入る時知らずな食材。
これらは長期保存できる乾物であるからこその大きなメリットです。

そして誰もが知っている馴染みのある食材。

高野豆腐もその一つであり、多くの家庭で親しまれています。
栄養価も高く、近年はレジスタントプロテインを豊富に含む食品として注目され、なんだか古臭いイメージの高野豆腐から、良質のたんぱく質を多く含み、プラントベースのスーパーフードとして注目されつつある高野豆腐。

レシピは煮物が一般的ですが、違う調理法で味わう高野豆腐の美味しさを伝えることができた貴重な体験でした。

高野豆腐で鉄火味噌はどんなもの?

鉄火味噌

「鉄火味噌」は大豆や根菜を炒めて赤味噌で練り上げたなめ味噌、とされています。

鉄火味噌とは日本の料理。赤味噌に野菜、いり大豆、ささがきごぼうの油いため、砂糖・みりん・唐辛子などを加えて練った保存食である。
名前は色が熱した鉄のように赤いことに由来する。
フライパンで細かく刻んだ根菜や大豆を油で炒め、そこに味噌を加えて練り上げて作る。

ウィキペディア

関西人ですので京都の白味噌も好きですが、この赤味噌、特に豆だけで作られている八丁味噌が大好きで、味噌カツのたれを作ったり、少量をカレーの隠し味に入れたりしています。

特に節分の後は炒り豆がお安く買えるので、毎年鉄火味噌を作っていました。
尼僧であった叔母、根っからの京都人ですが「美味しい美味しい」と食べてくれました。

身体を温めてくれる効果があるようで、寒い季節のごはんのおともとしてぴったりです。
赤味噌の色だけでなく、体の中から温め、少量で元気が出るこのなめ味噌の名前に”鉄火”と付いているのもうなづけます。

高野豆腐で鉄火味噌

いり豆で作る鉄火味噌は大豆を炒ればいつでも作れるのですが・・・、大豆を炒るのはあまり自信がありません。
節分が終わった後のセールの炒り豆も、しばらくすればまた元のお値段に戻ってしまう。

乾物を使って”ごはんのおとも”を考えていましたので、炒り豆を高野豆腐に変えて作ってみようと思い立ちました。元は同じ大豆ですから\(^o^)/

高野豆腐であれば一年中近くのお店やスーパーで手に入り、値段も手ごろ、季節によって上がり下がりすることもありません。
ひと箱買うと10個くらい入っていますが、残っても常温で保存ができます。
乾物の良さですね。

早速試作を重ねて、「これはご飯に合う!」高野豆腐で鉄火味噌が出来上がりました。
詳しいレシピやポイントは記事の最後でお伝えしています。

これを機会に次の章では高野豆腐の魅力を少し深掘りしてみます。

高野豆腐の魅力

高野豆腐は豆腐から作られていますが食感は独特で、その特殊な製法と風味で多くの人々を魅了しています。
煮物や炒め物など、様々な料理に活用できる汎用性も魅力の一つで、乾物として長期保存が可能なため、常備しておけば料理の幅も広がり、もしもの時の非常食にもなります。

栄養価も高く、良質な植物性たんぱく源であり、近年は新たな栄養素をもつ食品として注目されています。
日本の伝統的な食材でありながら、現代の健康志向にもマッチする、万能で魅力的な食材と言えるでしょう。

高野豆腐はどんな食品?

誰でも知っている高野豆腐、でも身近な食品ほど、実は知らないでいたことが多くあることに気づきます。

高野豆腐は今でいうところのフリーズドライ製法で作られた食品。
ただ単に豆腐を乾燥させたものではなく、一旦凍らせてからもどして水分を抜き、それを乾燥させたものです。

凍らせると豆腐の中の水分が小さな氷の粒になり、これがとけると気泡となって残り、高野豆腐のあの独特の食感が生まれます。
調理をするとこの小さな気泡に旨味がたっぷり吸い込まれ、美味しさを生むのですね。

高野豆腐は鎌倉時代に作られるようになったということですが、800年も前にこのような製造方法を生み出し、
元の豆腐にはない保存性と、全く別物と言っていいほどの美味しさを持つ加工食品を作った先人の知恵に感服するばかりです。

いや、気持ちは現在人の私たちも同じだと思います。
厳しい食糧事情の中で食べ物を保存し命をつないでいかなければならない状況と、美味しいものを食べたいという探求心はいつの時代でも共通のものです。

飽食の時代も経験しましたが、世界の食糧事情が危機に瀕している今の時代、プラントベースフードとしても素晴らしい機能を持つ食品、高野豆腐を人々は受け継いできました。
その積み重ねにあらためて人の知恵ってすごいなと思います。

高野豆腐のはじめ物語

高野豆腐がどのようにして生まれたか、いくつか説があるようです。

「高野豆腐」という名前にある通り、高野山が発祥の地とされるお話。
高野山の修行僧の貴重な蛋白源として食べられていた豆腐。

ある時、冬の厳しい寒さで豆腐が凍ってしまい、それを溶かして食べてみたら食感が珍しいものに変わり美味しく食べられたのが始まりという説。
また、中国にも同様の食品があることから、弘法大師が中国から持ち帰ったという説もあるそうです。

一方、関西一円での呼び名「高野豆腐」とは別に、長野県や東北地方で「凍み豆腐」という名で呼ばれているものがあります。
厳しい冬の寒さの中で豆腐を凍らし、それをつるして凍結と溶解を繰り返して自然乾燥させて作られていた。

いずれも800年も前の鎌倉時代のことだそうです。

保存食としてだけでなく、その高い栄養価から兵糧食としても優れているとされていたのだそうです。
(参照: 旭松 こうや豆腐年代記  )

わが町大阪府河内長野市はすぐお隣が和歌山県。
高野山は和歌山県にありますが、高野山でお坊様が豆腐を凍らせた、という説にとても親しみが湧きます。(^^♪

高野豆腐に含まれるびっくりな栄養価

ダイエットしようとごはんを控えていたら、お腹の調子がもう一つ、になった経験があります。
お野菜から食物繊維はしっかりとっているのになんでかなあ、と思っていました。

ご飯など炭水化物はただカロリーがあって太るだけでしょ、と思っていたのですが、
調べてみると炭水化物にも体に吸収されるものとそうでないものがあるのですね。

吸収されないものつまり消化されにくい炭水化物、それがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)。
主食であるお米などの穀物にちゃんと含まれていたのでした。

食物繊維は栄養としてはヒトには吸収されませんが、腸内の善玉菌の食べ物になるのです。
善玉菌がたくさん食物繊維をたべて元気になると、善玉菌の作用のひとつ、コレステロールの調整につながります。

食物繊維は炭水化物に分類されますが、
ある種のタンパク質もレジスタントスターチ同様の難消化性のものがあるのですね。
それがレジスタントプロテインと呼ばれています。

この難消化性の蛋白質が高野豆腐に多く含まれている子ことが近年の研究で明らかになってきました。

平成26年5月発表こうや豆腐にはコレステロール調整・食後の中性脂肪上昇を抑制する作用があることが分かりました。その要因としてこうや豆腐にはレジスタントタンパクが豊富に含まれていることが判明しました。

平成27年5月発表こうや豆腐のレジスタントタンパクの機能性について、より詳細なメカニズムを検討し、脂質の吸収抑制効果が実際にあることを確かめました。

平成28年5月18日発表「なぜ、こうや豆腐にレジスタントタンパクが多く含まれているのか」について研究してきました。その結果、秘密はこうや豆腐の製造工程にあり、時間とエネルギーを掛ける各工程によりレジスタントタンパクを増加させていることが解明できましたので、発表いたしました。

*本研究を著した論文:Kori-tofu Making Processes Increase Hi-molecular-weight Fraction(HMF)が、Japanese Pharmacology & Therapeutics vol.44 no.4 613(2016)に掲載されました。

旭松 こうや豆腐の最新健康機能性研究について https://www.asahimatsu.co.jp/research-2.html

800年も前から作られている高野豆腐の新たな栄養価が解明されたのは、わずか10年ほど前なのですね!
先人の知恵とたゆみない現代の研究の成果に心から敬服します。

さらにこのページでは、なぜ高野豆腐にレジスタントプロテインが多く含まれるのかが記されています。

こうや豆腐がレジスタントタンパクを多く含む工程とその理由

工程1「圧縮 豆腐形成」

こうや豆腐の原料豆腐は、木綿こうや豆腐に近い製法で製造されますが、そのプレス圧が強いことから、たんぱく質同士の結びつきが強くなり、レジスタントタンパクが形成されます。(図1)図1強い圧縮成型により、レジスタントタンパク形成強い圧縮成型により、レジスタントタンパク形成

工程2「凍結」

こうや豆腐製造工程の凍結は緩慢凍結(ゆっくり時間を掛けて凍らせる 図2)です。一般的に凍結速度がゆっくりになると氷結晶(凍結によってできる氷の結晶)のサイズが大きくなることが知られています。大きな氷結晶によってたんぱく質が押され、結合が強くなることによってレジスタントタンパクが形成されます。

緩慢凍結と急速凍結こうや豆腐の凍結は「保存」のための凍結ではない。「加工」のための凍結である。(図2)図2いわゆる冷凍食品との違いいわゆる冷凍食品との違い

工程3「低温熟成」

こうや豆腐は、凍結後に約-2℃の環境で3週間もの長い間熟成されます。この間に凍結で形成された氷結晶がさらに成長し、より多くのレジスタントタンパクが形成されます。(図3)図3低温熟成時間とレジスタントタンパク増分工程経過時間とレジスタントタンパク増分

このように、こうや豆腐は長い時間・工程をかけてつくられることで、
レジスタントタンパクが形成されることがわかってきました。

旭松 こうや豆腐の最新健康機能性研究について https://www.asahimatsu.co.jp/research-2.html

圧縮と凍結を繰り返すことでレジスタント蛋白が形成されるのですね!!
乾物という加工食品に生まれる新たな栄養素に、本当にびっくり、驚嘆します。

良質のたんぱく質と、たんぱく質の食物繊維まで摂れてしまう高野豆腐。
普段の食事にも、もしもの時の非常食としても超優秀であることがよくわかりました。

高野豆腐を使ったレシピ

高野豆腐のレシピが、ネットでたくさん見ることができますね。
どれも美味しそう!

この章では、猫杓食堂で実際に作ってみて楽しかったもの、簡単に作れるもの、ちょっと変わったレシピ、などをいくつかお伝えします。

まずは冒頭に記載した、高野豆腐で鉄火味噌

高野豆腐を焼くとまた違った食感になって美味しいです。
このレシピでは高野豆腐を煮ずに、小さく切ったものをクルトン状になるまでフライパンで炒めたものを使っています。この高野クルトン、サラダのトッピングにもなります。

以下は実際に冷蔵庫に合った材料の分量を記していますが、ざっくりと皆同量で、
ごぼう100g 人参100g 高野豆腐2枚 味噌も100g 生姜はお好みの分量でいいと思います。
ごぼうは下茹でしないほうが香りよく歯ごたえもよく仕上がります。

私の高野豆腐レシピの基本:高野豆腐の白煮

尼僧の叔母がお仕えしたお寺のレシピです。

これが超簡単、超おいしい!!
是非是非まずは一度作ってみて下さい。

なんと、出汁も使わず、お醤油も入れません。
水と砂糖と塩だけで作る、絶品高野豆腐の煮物です。

材料 ・高野豆腐2枚 ・水2カップ ・砂糖大匙1~お好みで大匙2くらい ・塩小匙1くらい

作り方 
1、高野豆腐を戻します。
水につけるとすぐに戻りますが、何度か水を替えてにごりを取ります。
気にならなければ戻すだけでOK。

2、好みの大きさ、4~6等分に切ります。

3、鍋に水カップ2、砂糖大匙1~2、塩小匙1を入れて煮立ったら高野豆腐を入れて中火の弱火にします。
そのまま静かに20分~25分煮ます。

4、豆腐に光沢が出てきて角が少しやわらいできたら火を止めます。
そのまま、あるいはバットに移し並べて冷やすと形が整います。

箸でつまむのが難しいくらいに柔らかい
バットに並べ入れ形を整える
高野豆腐の白煮

ポイント
・20分以上しずかに煮てください。これ以上煮ると形が崩れるかな、くらいが一番おいしいです。
・煮汁の中で冷やしてから食べるのも美味しいですが、私は出来立ての熱々が大好きです。
・盛り付けるときは箸でつまんだ時あまり汁がこぼれないよう、少し汁を切って盛り付けます。

高野豆腐の白煮の揚げ出し

材料 ・上記の高野豆腐の白煮 ・米粉または片栗粉や小麦粉など好みのもの ・あげ油 ・天つゆや塩など

作り方 
1、高野豆腐の白煮を少し多めに作っておき、しっかり冷めて味の含んだものを使います。
2、汁気をある程度切り、粉をまぶします。
3、小さなフライパンに2センチくらいの油を入れ、高野豆腐をカラリとあげます。
4、好みで天つゆや塩をつけて頂きます。

衣は溶いたものでも粉のままでも
米粉を使うと表面がカラッとあがります

シソの葉を敷いたり、粉山椒や青のりを散らしたり。時知らずな一品ですので季節を感じさせるものを添える楽しみもあります。

もうひと手間かかりますが、揚げたものに甘辛餡をからめても美味しいです。
お弁当の一品に。

高野豆腐のサンドイッチ

高野豆腐は煮るだけでなく、焼くとまた違った食感が味わえて、美味しいです。
高野豆腐を食パンに見立ててサンドイッチ風にしてみました。

材料 ・高野豆腐2枚 ・きゅうりやハムなど中に挟む具 ・バター マヨネーズ 辛子など

作り方

1、戻した高野豆腐の厚みを半分に切ります。
  フライパンにバターかオリーブオイルを落とし、半分の厚みになった高野豆腐の両面をややカリっとするまで焼きます。

2、焼いた高野豆腐の厚みにさらに切り込みを入れてポケットを作ります。
  小さなナイフを使って意外と簡単に切り込みができます。

3、好みの味をつけて具を挟み込みます。

厚切りハムと卵
卵とわかめのヨーグルト戻し

高野豆腐を戻すとき、手で栄養価を感じ取ることができます。
含まれる脂肪分で、手がしっとりしてくるのがわかるのです。

パッケージの裏面に書かれている栄養成分表示です。

高野豆腐の栄養成分表示

1枚の高野豆腐16.5gの内、たんぱく質が8.5g、50%以上!
そして脂質が5.7g約30%で、さらにこの脂質は身体によいとされる不飽和脂肪酸なのだそうです。
炭水化物はうんと少なく、レジスタントタンパク質(食物繊維と同様の働きをするタンパク質)がなんと3gも!

800年の間受け継がれてきた高野豆腐は普段の食卓にも、もしもの時にも心強い食材です。
そして現代社会が直面している世界の食糧事情にも大きく貢献するでしょう。
さらに人々を未来の食卓につなげる力を秘めています。

↓無料体験レッスン↓ お気軽にお問い合わせ下さい。

花切り大根を作ってみましょう! 無料体験レッスン

日時
木曜 午前10:30~11:00 午後20:00~20:30
日曜 午前10:30~11:00 午後14:30~15:00

場所
Zoomにて

費用 無料(30分)

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ご希望の日の1週間前にお電話かメールをいただけると有難いです。

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大根1/3本ほど 包丁 スライサー まな板 キッチンペーパー 
ザル(直径30cmほどの盆ザル、またな小さめの平たいザルをいくつか、右端写真の奥のようなA4ファイル用の整理箱でもOKですが、四方と底面がザル状のもの)

レシピもお伝えします。
干している間の写真や干し上がったものを写真に撮ってお送りください。
ご質問にお答えいたします。

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