おせちの余韻を楽しむアイデアと自家製干し野菜の魅力


お正月三が日があっという間に過ぎました。
お節料理、連日食べても美味しいものですが、少人数の我が家では余ってしまいます。
少し余った筑前煮を無駄にせず、美味しさのアップサイクルを試みてみました。

市販の乾物と合わせたり、干し野菜にしたり、小さな工夫がお節料理の新たな可能性をもたらしてくれます。

華やかな年越しの余韻、お節で楽しむまぜ寿司のアレンジ

大晦日は味見と称してつまみ食い。
元旦は「年に一度しか食べんから」と自分の好みの筑前煮を思う存分楽しみました。

そして2日目。
残った筑前煮を使ってまぜ寿司へのアレンジに挑戦することにしました。

ごぼうに人参、タケノコにこんにゃく、そして大好きなレンコン。
もちろん、筑前煮なので鶏肉も贅沢に使いました。

しかし、我が家の皆は(と言っても二人ですけど・・)ピッキーな性格。
好きなものから手を伸ばしてしまうことは必至です。><;


「今日はまぜ寿司にしようか」と思った時は家人の好きな人参はほんの少ししか残っておらず、そして当然のように鶏肉はすでになし。

でもこのまぜ寿司、かなり美味しく、そしてあっという間に出来るのです。
なぜかって、具にはしっかりお味がついているし、鶏肉はなくでも美味しいお出汁が浸み込んでいるし、おせちでお寿司が出来ちゃった、というのはとても心が弾みました。

筑前煮
筑前煮

人参は皮ごと、干し椎茸の戻し汁は昆布出汁と合わせてゆっくり時間をかけて炊きました。
もうそろそろ固いものは避けたいお年頃なので柔らかくなるまでコトコト。
お出汁が十分に沁み、柔らかくなったお野菜は少量の調味料で味が決まります。

筑前煮まぜ寿司
筑前煮まぜ寿司

具は好みの大きさ、かなりごろごろのままです。
これを酢飯と混ぜるだけ。

美味しそうにできそうだ!と思うと心が弾みます。
弾んだ勢いで、干し湯葉を軽く戻し水分をふき取ってフライパンでさっと揚げて…、

揚げ干し湯葉
揚げ干し湯葉
筑前煮でまぜ寿司
筑前煮でまぜ寿司

揚げた干し湯葉を錦糸卵に見立ててトッピングにしました。

干し湯葉、あまり馴染みのない食材ですが、乾物ですので常温で長期に保存ができます。
ちょっと華やかさがほしい時など、お客様に「へ~これ何??」って言ってほしい下心がある時><;
時々使っています。

お正月の締めくくりに干し野菜の旨味たっぷりの豚汁を味わう

筑前煮を楽しんだ後、使わずに残ったお野菜、ごぼうや金時人参、親芋やれんこん。
これらのお野菜を有効に活用する方法として、自家製の干し野菜にします。

数日で干しあがるよう約3mmほどの厚さに切って1つづつ重ならないように並べていくと、ワクワク感も1つ高まっていきます。

お正月料理は美味しくてあっという間になくなってしまうけど、
こうしてザルに並べた野菜は時間を超えて楽しむことができ、買い物に行けない状況や電気が切れて冷蔵庫が使えないような状況でもお腹を満たしてくれるとても心強い存在になります。
状況によっては命をつないでくれる大きな力を秘めている。

さて、今日は1月4日。
お正月気分もお野菜の水分も程よく干し上がってきました。
まだ完全に干しあがってはいませんが、手作り干し野菜はセミドライの美味しさも楽しめることも大きな魅力。
既に干し野菜の凝縮された香りが漂います。

このまま数ヶ月、半年から1年ほど余裕で保存できるのですが…
これはもう今晩、豚汁作るしかないでしょう!

他の干した野菜、大根や椎茸かぶらを足して戻している最中です。

汁物にするときは水やお出汁に短時間漬けてそのまま火にかければOK。
でも時間に余裕があるときは、じっくり戻すと戻し汁の旨みで出汁は必要ありません。
これも干し野菜の大きなメリットの一つです。
今夜のメニューは干し野菜で作る豚汁に決定しました。

干し野菜で作る豚汁は凝縮された滋味あふれる美味しさで、栄養価も高い一品になります。

お野菜がもたらしてくれる季節の恵みを日々大切に頂き、
干し野菜にして滋味あふれる味も楽しみ、保存食としてもしもの時にも命をつなぐ大きな力を持っている。
干し野菜は、食卓だけでなく心にも温かさと余裕をもたらすことができると思うのです。

お正月料理でたくさん出る、お野菜の皮やヘタ、さてどうしよう

自分で作る干し野菜は、実はとても簡単。
ほとんどのお野菜は切って、干すだけ!

それでもいくつかポイント、コツがあります。
晴れた日に干し始めること。
風が少しあって、お肌がカサカサするほどの湿度が良い。

でも~、
お日様が照っていなくても、
雨が降っていても、
午後遅くからでも、夜になってからでも、

干せるお野菜があります。

一昨日炊いた親芋。
できるだけ水をあてずに皮を剥いて、その皮を捨てずに一旦ザルに置いてみました。

写真を撮りたくなったほど堂々としています。

もう夜になっていましたがベランダに出して干しています。
ゴミが出せる日までにウンと軽くなってね! と思いながら。

お野菜の気持ちになって考えてみると、
「あっ僕ヘタなんだ。捨てられるんだ」
「私って皮なの?」
「おれは根っこか、要らぬものなのか」
なんて思っていないと思うのです。
「ㇲが入ってしまってㇲみませんね~」とも思ってない。

それぞれの役割を全身全霊をかけて果たし、今ここにある。

依然買っていたのに積んどく本だった「精進料理考」吉村昇洋 著 、
最近になって何度もページをめくるようになりました。

以下のような行があります。
曹洞宗の開祖、道元禅師が書いた「典座教訓」(食事を作る人の心構えを書いた著書)の一節がわかりやすく書かれています。

醍醐味というごちそうを作る時も、それを決して上等だとはせず、葉っぱで作った質素な汁を調理するときでも、必ずしも粗末なものとみなしてはいけない。
葉っぱを手にして調理するときも、まごころ・誠実な心・清らかな心で、醍醐味を作る時と同じようにしなさい。・・・・

「精進料理考」吉村昇洋 著  春秋社

皮やヘタや根っこも同じ。
それぞれの役目を果たして今目の前にあるわけです。

固くて口には入れられないかもしれません。
捨てることになるでしょう。

でもその前にちょっとだけ、「精進料理考」の中で吉村氏は提案しています。

よく私たちは「野菜クズ」や「クズ野菜」など、野菜の剥いた皮や切れ端についてよくこういった表現を使う。しかし本当にそれは「クズ」なのだろうか。野菜の一部という存在以上でも以下でもないにも関わらず、勝手にクズ扱いをしてはいまいか。クズだと思うから、三角コーナーやゴミ箱になんの抵抗もなしに捨てることができるわけで、その前にワンクッション、お皿なりバットなりを用意して、そこに切れ端を一旦置いてみる。そして考えるのだ。これらを活用する方法はないのか?と ・・・・・

「精進料理考」吉村昇洋 著  春秋社

この提案に甚く感じ入り、
お皿ではなくザルに置いたら干してみたくなってしまいました。

二晩で約半分の重さになり、もう数日干してみようかと思っています。
大根など約10分の1の重さになりますが、お芋の皮は水分が少ないので3分の1くらいになるまでかなあ。

捨ててしまう重さが少しでも軽くなればエネルギーの節約にもなって、ゴミを出すにもいろいろ工夫することが出来て楽しいなと思っています。

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